問題文全文(内容文):
2022年5月、私たちが住む銀河系の中心に位置するブラックホールの天体画像が発表されました。
2019年に発表されたM87という天体にふくまれるブラックホールの画像に続き2例目です。
ブラックホールが周囲のあらゆるものを吸い込むだけの存在と思う人も多いでしょう。
しかし、ブラックホールの周囲からは物がふき出てもいます。
たとえば、図1右のように、M87では中心部から高速でふき出たガスによる「ジェット」という構造が見られます。
ジェットは多くの天体で見られ、画像から測った運動の速さが、光の速さの10倍をこえるものも見つかっています。
アインシュタインの相対性理論によると、物体は光の速さをこえないとされているので、一見するとこれは不思議な現象です。
物体の立体構造をつかむためには、縦・横・奥行の3つの長さが必要です。
図2のように、はなれた位置に置いた2つの棒を左右の目で観察すると、左右の目はそれぞれ異なる像を得ます。
私たちは、この2つの像を比べることで奥行を測っています。
問1
図2の左眼と右眼から見える像として、最も適当なものを次のア~エからそれぞれ1つずつ選び、記号で答えなさい。
問2
図2の2つの棒が、眼からより遠くにあると奥行をつかみづらくなります。
その理由を説明する次の文中のa~cについて〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
xの大きさがa〔ア.小さく イ.大きく〕、yの角の大きさがb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、xとyの角の大きさの差がc〔オ.小さく カ.大きく〕なり過ぎるから。
問3
宇宙の奥行をつかむには工夫が必要です。
その工夫を説明する次の文中のa,bについて、〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
左右の眼よりも間隔のa〔ア.せまい イ.広い〕2つの場所から目的とする物体の像を得ると、xとyの角の大きさの差がb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、遠くの物体の奥行をつかめる。
地球は太陽のまわりを動くので、季節を変えて同じ天体の画像を得ることで、私たちは宇宙の奥行をつかめます。
しかし、限界はあり、画像からはあまり遠い天体の奥行をつかめません。
さて、図3の点Cにいる観測者が、点Aから点Bに向けて動くジェット中のあるガスのかたまりを観測するとします。
点Aや点Bは点Cから十分に遠いため、直線BCと直線HCは平行とみなせます(図3下)。
このとき、点Cからジェットが点Hから点Bに動くように見え、天体画像ではこの見かけの運動が観測されます。
この見かけの運動は、ジェットの実際の運動と同じとは限りません。
問4
点Aと点Bの間の距離が18光年、点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりの速さが1年あたり0.9光年、z角の大きさが60度として次の問いに答えなさい。
1光年とは光が1年間に進む距離のことです。
また、必要に応じて、内角の1つが60度である直角三角形の3辺の長さの比を1:1.7:2として計算しなさい。
(1)ガスのかたまりが点Aを出発してから点Bに着くまでの時間を答えなさい。
(2)点Aと点Hの間の距離は何光年か答えなさい。
(3)点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりが「点Aで放った光が点Hを経て点Cに着く時刻」と、ガスのかたまりが「点Aから点Bまで動き、そこで放った光が点Cに着く時刻」の差が何年か答えなさい。
ただし、直線BCと直線HCの距離は等しいとします。
(4)私たちは物体が放つ光によって物体の運動をとらえています。
そのため、点Cから見ると、(3)で答えた時間の間に、ガスのかたまりは点Hから点Bまで動くように見えます。
この見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問5
zの角の大きさが30度のとき、ガスのかたまりによる点Hから点Bまでの見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、z角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問6
点Cから見てジェットが点Hから点Bまで動く速さは、角zの大きさによって変わります。
見かけの運動の速さとzの角の大きさの関係を示すグラフとして最も適当なものを右のア~オから選び、記号で答えなさい。
ただし、zの角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
このように、天体画像からわかる見かけの速さは、光の速さをこえることがあります。
遠くの天体に限らず、観察からわかる見かけの姿は本当の姿と異なることがあり、注意が必要です。
2022年5月、私たちが住む銀河系の中心に位置するブラックホールの天体画像が発表されました。
2019年に発表されたM87という天体にふくまれるブラックホールの画像に続き2例目です。
ブラックホールが周囲のあらゆるものを吸い込むだけの存在と思う人も多いでしょう。
しかし、ブラックホールの周囲からは物がふき出てもいます。
たとえば、図1右のように、M87では中心部から高速でふき出たガスによる「ジェット」という構造が見られます。
ジェットは多くの天体で見られ、画像から測った運動の速さが、光の速さの10倍をこえるものも見つかっています。
アインシュタインの相対性理論によると、物体は光の速さをこえないとされているので、一見するとこれは不思議な現象です。
物体の立体構造をつかむためには、縦・横・奥行の3つの長さが必要です。
図2のように、はなれた位置に置いた2つの棒を左右の目で観察すると、左右の目はそれぞれ異なる像を得ます。
私たちは、この2つの像を比べることで奥行を測っています。
問1
図2の左眼と右眼から見える像として、最も適当なものを次のア~エからそれぞれ1つずつ選び、記号で答えなさい。
問2
図2の2つの棒が、眼からより遠くにあると奥行をつかみづらくなります。
その理由を説明する次の文中のa~cについて〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
xの大きさがa〔ア.小さく イ.大きく〕、yの角の大きさがb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、xとyの角の大きさの差がc〔オ.小さく カ.大きく〕なり過ぎるから。
問3
宇宙の奥行をつかむには工夫が必要です。
その工夫を説明する次の文中のa,bについて、〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
左右の眼よりも間隔のa〔ア.せまい イ.広い〕2つの場所から目的とする物体の像を得ると、xとyの角の大きさの差がb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、遠くの物体の奥行をつかめる。
地球は太陽のまわりを動くので、季節を変えて同じ天体の画像を得ることで、私たちは宇宙の奥行をつかめます。
しかし、限界はあり、画像からはあまり遠い天体の奥行をつかめません。
さて、図3の点Cにいる観測者が、点Aから点Bに向けて動くジェット中のあるガスのかたまりを観測するとします。
点Aや点Bは点Cから十分に遠いため、直線BCと直線HCは平行とみなせます(図3下)。
このとき、点Cからジェットが点Hから点Bに動くように見え、天体画像ではこの見かけの運動が観測されます。
この見かけの運動は、ジェットの実際の運動と同じとは限りません。
問4
点Aと点Bの間の距離が18光年、点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりの速さが1年あたり0.9光年、z角の大きさが60度として次の問いに答えなさい。
1光年とは光が1年間に進む距離のことです。
また、必要に応じて、内角の1つが60度である直角三角形の3辺の長さの比を1:1.7:2として計算しなさい。
(1)ガスのかたまりが点Aを出発してから点Bに着くまでの時間を答えなさい。
(2)点Aと点Hの間の距離は何光年か答えなさい。
(3)点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりが「点Aで放った光が点Hを経て点Cに着く時刻」と、ガスのかたまりが「点Aから点Bまで動き、そこで放った光が点Cに着く時刻」の差が何年か答えなさい。
ただし、直線BCと直線HCの距離は等しいとします。
(4)私たちは物体が放つ光によって物体の運動をとらえています。
そのため、点Cから見ると、(3)で答えた時間の間に、ガスのかたまりは点Hから点Bまで動くように見えます。
この見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問5
zの角の大きさが30度のとき、ガスのかたまりによる点Hから点Bまでの見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、z角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問6
点Cから見てジェットが点Hから点Bまで動く速さは、角zの大きさによって変わります。
見かけの運動の速さとzの角の大きさの関係を示すグラフとして最も適当なものを右のア~オから選び、記号で答えなさい。
ただし、zの角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
このように、天体画像からわかる見かけの速さは、光の速さをこえることがあります。
遠くの天体に限らず、観察からわかる見かけの姿は本当の姿と異なることがあり、注意が必要です。
チャプター:
0:00 オープニング
0:15 問題紹介
1:00 問1
1:40 問2
2:50 問3
4:09 問4
9:27 問5
13:11 問6
単元:
#理科(中学受験)#理科過去問解説(学校別)
指導講師:
理数個別チャンネル
問題文全文(内容文):
2022年5月、私たちが住む銀河系の中心に位置するブラックホールの天体画像が発表されました。
2019年に発表されたM87という天体にふくまれるブラックホールの画像に続き2例目です。
ブラックホールが周囲のあらゆるものを吸い込むだけの存在と思う人も多いでしょう。
しかし、ブラックホールの周囲からは物がふき出てもいます。
たとえば、図1右のように、M87では中心部から高速でふき出たガスによる「ジェット」という構造が見られます。
ジェットは多くの天体で見られ、画像から測った運動の速さが、光の速さの10倍をこえるものも見つかっています。
アインシュタインの相対性理論によると、物体は光の速さをこえないとされているので、一見するとこれは不思議な現象です。
物体の立体構造をつかむためには、縦・横・奥行の3つの長さが必要です。
図2のように、はなれた位置に置いた2つの棒を左右の目で観察すると、左右の目はそれぞれ異なる像を得ます。
私たちは、この2つの像を比べることで奥行を測っています。
問1
図2の左眼と右眼から見える像として、最も適当なものを次のア~エからそれぞれ1つずつ選び、記号で答えなさい。
問2
図2の2つの棒が、眼からより遠くにあると奥行をつかみづらくなります。
その理由を説明する次の文中のa~cについて〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
xの大きさがa〔ア.小さく イ.大きく〕、yの角の大きさがb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、xとyの角の大きさの差がc〔オ.小さく カ.大きく〕なり過ぎるから。
問3
宇宙の奥行をつかむには工夫が必要です。
その工夫を説明する次の文中のa,bについて、〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
左右の眼よりも間隔のa〔ア.せまい イ.広い〕2つの場所から目的とする物体の像を得ると、xとyの角の大きさの差がb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、遠くの物体の奥行をつかめる。
地球は太陽のまわりを動くので、季節を変えて同じ天体の画像を得ることで、私たちは宇宙の奥行をつかめます。
しかし、限界はあり、画像からはあまり遠い天体の奥行をつかめません。
さて、図3の点Cにいる観測者が、点Aから点Bに向けて動くジェット中のあるガスのかたまりを観測するとします。
点Aや点Bは点Cから十分に遠いため、直線BCと直線HCは平行とみなせます(図3下)。
このとき、点Cからジェットが点Hから点Bに動くように見え、天体画像ではこの見かけの運動が観測されます。
この見かけの運動は、ジェットの実際の運動と同じとは限りません。
問4
点Aと点Bの間の距離が18光年、点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりの速さが1年あたり0.9光年、z角の大きさが60度として次の問いに答えなさい。
1光年とは光が1年間に進む距離のことです。
また、必要に応じて、内角の1つが60度である直角三角形の3辺の長さの比を1:1.7:2として計算しなさい。
(1)ガスのかたまりが点Aを出発してから点Bに着くまでの時間を答えなさい。
(2)点Aと点Hの間の距離は何光年か答えなさい。
(3)点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりが「点Aで放った光が点Hを経て点Cに着く時刻」と、ガスのかたまりが「点Aから点Bまで動き、そこで放った光が点Cに着く時刻」の差が何年か答えなさい。
ただし、直線BCと直線HCの距離は等しいとします。
(4)私たちは物体が放つ光によって物体の運動をとらえています。
そのため、点Cから見ると、(3)で答えた時間の間に、ガスのかたまりは点Hから点Bまで動くように見えます。
この見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問5
zの角の大きさが30度のとき、ガスのかたまりによる点Hから点Bまでの見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、z角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問6
点Cから見てジェットが点Hから点Bまで動く速さは、角zの大きさによって変わります。
見かけの運動の速さとzの角の大きさの関係を示すグラフとして最も適当なものを右のア~オから選び、記号で答えなさい。
ただし、zの角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
このように、天体画像からわかる見かけの速さは、光の速さをこえることがあります。
遠くの天体に限らず、観察からわかる見かけの姿は本当の姿と異なることがあり、注意が必要です。
2022年5月、私たちが住む銀河系の中心に位置するブラックホールの天体画像が発表されました。
2019年に発表されたM87という天体にふくまれるブラックホールの画像に続き2例目です。
ブラックホールが周囲のあらゆるものを吸い込むだけの存在と思う人も多いでしょう。
しかし、ブラックホールの周囲からは物がふき出てもいます。
たとえば、図1右のように、M87では中心部から高速でふき出たガスによる「ジェット」という構造が見られます。
ジェットは多くの天体で見られ、画像から測った運動の速さが、光の速さの10倍をこえるものも見つかっています。
アインシュタインの相対性理論によると、物体は光の速さをこえないとされているので、一見するとこれは不思議な現象です。
物体の立体構造をつかむためには、縦・横・奥行の3つの長さが必要です。
図2のように、はなれた位置に置いた2つの棒を左右の目で観察すると、左右の目はそれぞれ異なる像を得ます。
私たちは、この2つの像を比べることで奥行を測っています。
問1
図2の左眼と右眼から見える像として、最も適当なものを次のア~エからそれぞれ1つずつ選び、記号で答えなさい。
問2
図2の2つの棒が、眼からより遠くにあると奥行をつかみづらくなります。
その理由を説明する次の文中のa~cについて〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
xの大きさがa〔ア.小さく イ.大きく〕、yの角の大きさがb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、xとyの角の大きさの差がc〔オ.小さく カ.大きく〕なり過ぎるから。
問3
宇宙の奥行をつかむには工夫が必要です。
その工夫を説明する次の文中のa,bについて、〔〕に入る適当な語句をそれぞれ選び、記号で答えなさい。
左右の眼よりも間隔のa〔ア.せまい イ.広い〕2つの場所から目的とする物体の像を得ると、xとyの角の大きさの差がb〔ウ.小さく エ.大きく〕なり、遠くの物体の奥行をつかめる。
地球は太陽のまわりを動くので、季節を変えて同じ天体の画像を得ることで、私たちは宇宙の奥行をつかめます。
しかし、限界はあり、画像からはあまり遠い天体の奥行をつかめません。
さて、図3の点Cにいる観測者が、点Aから点Bに向けて動くジェット中のあるガスのかたまりを観測するとします。
点Aや点Bは点Cから十分に遠いため、直線BCと直線HCは平行とみなせます(図3下)。
このとき、点Cからジェットが点Hから点Bに動くように見え、天体画像ではこの見かけの運動が観測されます。
この見かけの運動は、ジェットの実際の運動と同じとは限りません。
問4
点Aと点Bの間の距離が18光年、点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりの速さが1年あたり0.9光年、z角の大きさが60度として次の問いに答えなさい。
1光年とは光が1年間に進む距離のことです。
また、必要に応じて、内角の1つが60度である直角三角形の3辺の長さの比を1:1.7:2として計算しなさい。
(1)ガスのかたまりが点Aを出発してから点Bに着くまでの時間を答えなさい。
(2)点Aと点Hの間の距離は何光年か答えなさい。
(3)点Aから点Bに向けて動くガスのかたまりが「点Aで放った光が点Hを経て点Cに着く時刻」と、ガスのかたまりが「点Aから点Bまで動き、そこで放った光が点Cに着く時刻」の差が何年か答えなさい。
ただし、直線BCと直線HCの距離は等しいとします。
(4)私たちは物体が放つ光によって物体の運動をとらえています。
そのため、点Cから見ると、(3)で答えた時間の間に、ガスのかたまりは点Hから点Bまで動くように見えます。
この見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問5
zの角の大きさが30度のとき、ガスのかたまりによる点Hから点Bまでの見かけの運動の速さは1年あたり何光年か答えなさい。
ただし、z角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
答えが割り切れないときは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
問6
点Cから見てジェットが点Hから点Bまで動く速さは、角zの大きさによって変わります。
見かけの運動の速さとzの角の大きさの関係を示すグラフとして最も適当なものを右のア~オから選び、記号で答えなさい。
ただし、zの角の大きさ以外の条件は問4と同じとします。
このように、天体画像からわかる見かけの速さは、光の速さをこえることがあります。
遠くの天体に限らず、観察からわかる見かけの姿は本当の姿と異なることがあり、注意が必要です。
投稿日:2023.12.21