高校化学の計算問題(問題027・2022愛知学院大学)身近な塩素系漂白剤の濃度をヨウ素滴定で求める - 質問解決D.B.(データベース)

高校化学の計算問題(問題027・2022愛知学院大学)身近な塩素系漂白剤の濃度をヨウ素滴定で求める

問題文全文(内容文):
塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウム $NaClO$の濃度を求める実験について,以下の文章を読み,問に答えなさい。

塩素系漂白剤をホールピペットを用いてメスフラスコへ正確に $5.0mL$移し,メスフラスコに純粋な水を加えて $100mL$ に希釈した。
この溶液をホールピペットを用いてコニカルビーカーヘ正確に
$10mL$移し,純粋な水を約$100mL$加えた。
①そこにヨウ化カリウム$KI$を$1.0g,1.5mol/L$の硫酸$H_2SO_4$水溶液を$5.0mL$加えたところ,ヨウ素$I_2$が生じて溶液が褐色に変化した。
この溶液を,ビュレットを用いて$0.10mol/L$のチオ硫酸ナトリウム$Na_2S_2O_3$水溶液にて滴定した。
途中,試料溶液の色が薄くなったところで指示薬としてデンプン水溶液を少量加えると,溶液の色が青紫色に変化した。
この色が消えるまで滴定を続けたところ,総量$10mL$を要した。
ただし,ヨウ素$I_2$とチオ硫酸ナトリウム$Na_2S_2O_3$は,以下のように反応する。
$I2 + 2Na_2S_2O_3 →2NaI + Na_2S_4O_6$

問 1 下線部①の酸化剤と還元剤の反応を,電子$(e^{-})$を含むイオン反応式でそれぞれ答えなさい。

問 2 この塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムのモル濃度は何$mol/L$ですか。
有効数字 2 桁で答えなさい。
ただし,漂白剤中で反応に関係するものは$NaClO$以外に存在しないものとする。

問 1
酸化剤:$ClO^{-} + 2H^{+} + 2e^{-} → Cl- + H_2O$
還元剤:$2I^{-} → I_2 + 2e^{-}$
※次亜塩素酸イオンの塩素原子の酸化数は$+1$であることに注意

問 2
問 1の半反応式より以下のイオン反応式が得られる。
$ClO^{-} + 2H^{+} + 2I^{-} → I_2 + Cl^{-} + H_2O$
これより,($ClO^{-}$の数) =($NaClO$の数) =($I_2$の数)※であることがわかる。
希釈前の漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムのモル濃度$c〔mol/L〕$とすると,$5.0mL→100mL$にしていることから濃度は$20$分の$1$になっている。
また,ヨウ素$1$個と反応するチオ硫酸ナトリウムは$2$個なので,($NaClO$の数) =($I_2$の数)であることとあわせて,
$\displaystyle \frac{c}{20}[mol/L] \times \displaystyle \frac{10}{1000}L \times 2=0.10mol/L \times \displaystyle \frac{10}{1000}L$これを解いて,$c=1.0mol/L$

※補足 この問題では KI の式量が与えられていないため mol は計算できないが,次亜塩素酸
ナトリウムをすべて反応させる必要があるので,ヨウ化カリウムは反応に十分な量を加えている
はずである(そうでなければ滴定として失敗である)。
結果から、$\displaystyle \frac{0.1}{20}[mol/L] \times \displaystyle \frac{10}{1000}L =5.0 \times 10^{-5}mol,KI$の式量 166 から$\frac{1.0g}{166g/mol} \fallingdotseq 6.0 \times 10^{-3}mol$なので,十分な量の $KI$ を加えていることが確認できる。
単元: #化学#化学基礎2ー物質の変化#大学入試過去問(化学)#酸化還元反応#理科(高校生)#愛知学院大学
指導講師: ぺんぎん高校化学問題集
問題文全文(内容文):
塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウム $NaClO$の濃度を求める実験について,以下の文章を読み,問に答えなさい。

塩素系漂白剤をホールピペットを用いてメスフラスコへ正確に $5.0mL$移し,メスフラスコに純粋な水を加えて $100mL$ に希釈した。
この溶液をホールピペットを用いてコニカルビーカーヘ正確に
$10mL$移し,純粋な水を約$100mL$加えた。
①そこにヨウ化カリウム$KI$を$1.0g,1.5mol/L$の硫酸$H_2SO_4$水溶液を$5.0mL$加えたところ,ヨウ素$I_2$が生じて溶液が褐色に変化した。
この溶液を,ビュレットを用いて$0.10mol/L$のチオ硫酸ナトリウム$Na_2S_2O_3$水溶液にて滴定した。
途中,試料溶液の色が薄くなったところで指示薬としてデンプン水溶液を少量加えると,溶液の色が青紫色に変化した。
この色が消えるまで滴定を続けたところ,総量$10mL$を要した。
ただし,ヨウ素$I_2$とチオ硫酸ナトリウム$Na_2S_2O_3$は,以下のように反応する。
$I2 + 2Na_2S_2O_3 →2NaI + Na_2S_4O_6$

問 1 下線部①の酸化剤と還元剤の反応を,電子$(e^{-})$を含むイオン反応式でそれぞれ答えなさい。

問 2 この塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムのモル濃度は何$mol/L$ですか。
有効数字 2 桁で答えなさい。
ただし,漂白剤中で反応に関係するものは$NaClO$以外に存在しないものとする。

問 1
酸化剤:$ClO^{-} + 2H^{+} + 2e^{-} → Cl- + H_2O$
還元剤:$2I^{-} → I_2 + 2e^{-}$
※次亜塩素酸イオンの塩素原子の酸化数は$+1$であることに注意

問 2
問 1の半反応式より以下のイオン反応式が得られる。
$ClO^{-} + 2H^{+} + 2I^{-} → I_2 + Cl^{-} + H_2O$
これより,($ClO^{-}$の数) =($NaClO$の数) =($I_2$の数)※であることがわかる。
希釈前の漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムのモル濃度$c〔mol/L〕$とすると,$5.0mL→100mL$にしていることから濃度は$20$分の$1$になっている。
また,ヨウ素$1$個と反応するチオ硫酸ナトリウムは$2$個なので,($NaClO$の数) =($I_2$の数)であることとあわせて,
$\displaystyle \frac{c}{20}[mol/L] \times \displaystyle \frac{10}{1000}L \times 2=0.10mol/L \times \displaystyle \frac{10}{1000}L$これを解いて,$c=1.0mol/L$

※補足 この問題では KI の式量が与えられていないため mol は計算できないが,次亜塩素酸
ナトリウムをすべて反応させる必要があるので,ヨウ化カリウムは反応に十分な量を加えている
はずである(そうでなければ滴定として失敗である)。
結果から、$\displaystyle \frac{0.1}{20}[mol/L] \times \displaystyle \frac{10}{1000}L =5.0 \times 10^{-5}mol,KI$の式量 166 から$\frac{1.0g}{166g/mol} \fallingdotseq 6.0 \times 10^{-3}mol$なので,十分な量の $KI$ を加えていることが確認できる。
投稿日:2023.03.12

<関連動画>

【旧センター試験化学】2019追試 第3問 問5 アルミニウムの溶融塩電解

アイキャッチ画像
単元: #化学#無機#大学入試過去問(化学)#酸化還元反応#理科(高校生)#センター試験
指導講師: ぺんぎん高校化学問題集
問題文全文(内容文):
酸化アルミニウムAl₂O₃を原料とした融解塩電解(溶融塩電解)によるアルミニウムAlの製造は,図1のような装置で行われ,陽極の炭素Cは次の反応のいずれかにより酸化される。

C + O²⁻ → CO + 2e⁻
C + 2O²⁻ → CO₂ + 4e⁻

陽極で発生した気体が,CO 14 kgとCO₂ 66 kgの混合気体のとき,陰極側に生成した金属Alの質量は何kgか。最も適当な数値を,下の①~⑥のうちから一つ選べ。ただし,酸化アルミニウムを融解させるために添加された氷晶石の質量は変化せず,反応した酸化アルミニウムに含まれる酸素は,すべて陽極の炭素の酸化に使用されたものとする。

① 18
② 27
③ 32
④ 45
⑤ 54
⑥ 63
この動画を見る 

グラフ問題6 P,V,n,Tの相互関係 気体でn〔mol〕一定の情報があるなら真っ先に考えなければならないことは?

アイキャッチ画像
単元: #化学#化学理論#気体の性質#理科(高校生)
指導講師: ぺんぎん高校化学問題集
問題文全文(内容文):
理想気体について、体積を$V$、圧力を$P$、物質量を$n$、
絶対温度を$T$とする。
$a,b$にあてはまるグラフをそれぞれ選びなさい。

$a:n, T$が一定のときの$PV$(縦軸)と$P$(横軸)の関係を表すグラフ
$b:T$が一定のときの$\displaystyle \frac{n}{V}$(縦軸)と$P$(横軸)の関係を表すグラフ
※グラフは動画内参照
この動画を見る 

化学基礎の教科書を解説する動画 第50回  塩の化学反応

アイキャッチ画像
単元: #化学#化学基礎2ー物質の変化#中和と塩#理科(高校生)
指導講師: ぺんぎん高校化学問題集
問題文全文(内容文):
化学基礎 教科書の解説
〔塩の化学反応〕
この動画を見る 

【テスト前に爆速でチェック!】化学基礎期末テスト(6,7月テスト)に出そうなところまとめ〔現役講師解説、高校化学、化学基礎、2023年度版〕

アイキャッチ画像
単元: #化学#化学基礎1ー物質の構成#物質の成分と構成元素#原子の構成と元素の周期表#理科(高校生)
指導講師: 3rd School
問題文全文(内容文):
化学基礎期末テスト(6,7月テスト)に出そうなところをまとめました。
混合物、炎色反応、熱運動
質量数・同位体・放射線・半減期
電子配置、価電子、最外殻電子
イオンの基礎・イオン化エネルギー・電子親和力・原子半径・イオン半径
この動画を見る 

化学基礎の教科書を解説する動画 第54回  酸化剤と還元剤

アイキャッチ画像
単元: #化学#化学基礎2ー物質の変化#酸化還元反応#理科(高校生)
指導講師: ぺんぎん高校化学問題集
問題文全文(内容文):
化学基礎 教科書の解説
〔酸化剤と還元剤〕
この動画を見る 
PAGE TOP